バンザイ男子急増注意報

 そりゃさ、そりゃするしかないでしょバンザイ。両手を上げてね、僕は無実ですよー、と。僕の身は潔白ですよー、と。誰にでも分かるように、アピールしとかな。特に満員電車では。
 映画「それでもぼくはやってない」を見てきました。幸い僕は、駅で駅員さんがラグビーよろしく「おら〜」っとタックルしなきゃ乗客が乗り込めないような、日本の中心ではなく、北海道に住んでるんですが、それでも、もしも満員電車に乗って、身の危険を感じたときは、バンザイ男子になっちゃいますね。バンザイ男子になって、身の潔白を周囲にこれでもかと言うほどアピールして、安全を確保しておく。そうじゃないと、怖いですわ、ほんと。結果うんぬんじゃなくて、痴漢と間違われて、裁判沙汰になるだけで怖いもん。まじで。裁判に出たことなんてない二十四歳ですが、その怖さを、まざまざと見せつけられましたよ、「それぼく」では。
 あれは、何て言うんでしょうね。社会派ムービーってやつなんでしょうか。にしてもね、まず最初に来る感想は、「怖っ」ですわ。濡れ衣着せられるのって、こんなに怖いんだ、と。特に満員電車で痴漢に間違われること。その怖さは、ほんとに一度体験したかのような錯覚に陥るほど、細かいところまで作り込まれていました。リアルですよー、あの裁判。リアルですから、怖いですよ。特に、僕は男ですからね。
 多分あの映画、女の人が見たら、かなり違う感想を漏らすのかな、と思ったりもしました。全然、ドラマチックなことなんかない。ただ、ひたすらに裁判のリアルさを追及した感じで、その分、見る人によって色々な立場を取れると思うんです。結構いい年の子供がいる方は、親の視点から見るのかもしれませんし、もちろん女の方だったら、被害者の立場から見るのかもしれません。見る人を、「こっちだよー」みたいな感じで、ある種の感動とかに誘導してない分、自由度が高いんですよ。観る側の。だからでしょうね。いやー、勉強になりました。
 何と言うか、ドキュメンタリーとか、実際にあった事件の再現VTRを見ているような、そんな気分にもなりました。
 あれって、自動車教習所で見せられるような、事故とかに関するビデオと似てるよなーと思いました。あのビデオを、「Shall we ダンス?」を作った有名な監督が、きちんとした俳優陣を揃えて、お金もきちんとかけて作った感じ。いや、別に悪く言ってるつもりはないんですけど。
 学校とかで、裁判のことを教えるときとかに、重宝しそうな映画だな、と思いました。
 バンザイ!